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救急車で運ばれた後、母サチは一命を取り留めた。
意識はまだ戻っていなかったが、スヤスヤと眠る顔は二人を安心させた。
「…ふーっ…」
「はい。ハル。」
談話室のソファに座るハルに、紗奈は缶コーヒーを差し出した。
ハルは缶コーヒーを差し出す紗奈の手首を握り、
「…本当…サンキュ。助かった。」
紗奈はハルに優しく微笑むと、
「良かったね…。お母さん。」
ハルは返事をしないまま、手を離すとうつむいた。
「…ハル…?」
「お袋…アイツ、バカだから…」
紗奈はハルの隣に座り、静かに話を聞いていた。
「…オムライス…ガキじゃねぇのに…んなんで、機嫌とりやがって…」
「…ハル…。」
紗奈は、テーブルの上に置いてあったオムライスを思い出していた。
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