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「…いや…用事って言うか…」
「ふっ…」
「何?」
吹き出すイチカに、ハルは訳がわからず、眉間に皺を寄せた。
「だって…なにその格好っ…ははっ」
「これは…だな。仕事だったんだから…仕方ねぇだろ…っ」
ハルは、頭に白のタオルを巻き、黒のTシャツに作業ズボンはペンキだらけだった。
「よく入れたねっ…。」
「…るせぇー。ダッシュで来たから、分からなかったんだよっ。」
なおも笑い続けるイチカをハルは睨んだ。
「…笑いすぎだっつーの…。」
「…だってーっ」
「はぁー…たくっ。こっちは親方に無理言って、抜け出して来たのによ。」
ハルはポリポリとTシャツの下から手を入れて腹をかき、呆れた顔をした。
笑うイチカは、両手で顔を覆った。
「…イチカ…」
笑っていると思っていたイチカは、肩を小刻みに震わせていた。
「…おめでとうを…言いに来たんだ…。」
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