第Ⅱ話

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それからしばらくお互いに何も言わず、 だけど思ったよりも気まずい感じはしないまま、 ただ黙々とお弁当を食べていた。 風がゆるりと吹いて、 髪が少し遊ぶ。 鳥の声さえしないものの、 穏やかな空気が流れている。 それにしても、 ホント気持ちがいい場所。 そう思って、少し目を閉じた。 すると。 「そんなにここ、気に入った?」 いつの間にかパンを全部食べ終わっていたらしいヨシカワ君が、 私の方を見ていた。 「う、うん!」 慌てて答えると、 おどけた笑いでそりゃ良かったと返してくれて、 それから視線を空に遣った。
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