第Ⅰ話

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  *  *  * 私が生まれたのは、 今から17年前の梅雨の季節だった。 そして、 見事なまでの、 どしゃ降りの日。 母は今でもその雨の音をよく覚えていると言うし、 父も、スーツに染み込んだ雨の重さを未だに忘れられないと言う。 だけどそれはそれだけ印象深いというだけじゃなくて、 毎年私の誕生日に降る雨が、 彼らの記憶を取り出しやすい位置に置き直しているからだと思う。 出来過ぎなぐらい、 仕組まれているのかと思うぐらい、 毎年降る雨。 両親にとってはそれもいい思い出らしいけれど、 当の本人の私には、 それは手放しで喜べるものでは無かった。 だって私は、 自分の誕生日に限って、 雨の配達人なのだ。 それが嬉しい人なんて、 そうそういない。と思う。   *  *  *
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