ト オ イ キ オ ク

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お母さんは やっと酔いが覚めたのか口を開いた 「…呑気ね。あたし苺嫌いなの 悪いけど、とても誕生日を 祝える気分じゃないわ。おやすみ」 お母さんは立ち上がり ショートケーキの乗った皿を 生ごみの箱に捨てて2階に行ってしまった。 音もなくあたしの頬に涙が伝った その時からあたしは 苺を食べられなくなった。 次の日、置き手紙を最後に お母さんは家を出ていった。 まだ幼いあたしと 年の二つ離れた兄だけを家に残して 小学4年生の冬の出来事だった。
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