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「最悪…」
あと10分で
英語のテストが始まる…
諦めて机にうなだれたあたし
「…おーい」
隣から聞き慣れない少し低い声
あたしに語りかけてる…?
ふと起きて隣の席を見ると、
栗色がかった黒髪の少年の
眩しい笑顔があたしに向けられていた。
見るからにサラサラそうな髪は
少し横に流れていて、
綺麗な目をした人だった。
「君、何か忘れ物したでしょ?」
「あ…はい、
単語帳を忘れちゃって」
「今から単語覚えるのには
無理があるけど…いい方法あるよ」
「えっと…何ですか?!」
その人はポケットから
可愛い柄の飴を取り出して
あたしの机にちょこんと置いた
「これは魔法の飴。食べれば
単語帳なんかなくても大丈夫。」
あたしは言われるままに
その飴を口に入れた。
それはほんのり甘酸っぱい
何処か懐かしい味だった
苺の飴のせいか無事テストは
実力を出すことができたみたいだった
「…ありがとう。
おかげで大丈夫だったよ」
「いいえ♪
ただの苺味の飴なんだけどね」
「苺…味?!」
「どうかした?」
「何でもないです…」
「じゃあ、4月にね、」
受験の時、苺飴をくれた人の笑顔が
それ以来忘れられなくて
また会えたら…
なんて思う自分がいた。
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