2章 不安

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貴久Side 指定された病棟に着いてからのことは あんまり記憶がない ただ、看護師さんに案内された病室のベッドの上に座ってて 窓の外をぼーっと眺めていた 「…やっぱり、死んじゃうのかな?」 気付いたら涙がポロポロと流れていて 誰かが僕の病室の扉をノックしてたけど そんなのどうでもよくて 返事をしなかった 「増田…くん?」 「先生、僕…やっぱり死んじゃうの?」 僕はとめどなく溢れだす涙をほったらかしにして 主治医であろう目の前にいる 手越先生に聞いた そのまんま沈黙が流れて 突然、僕をふわっと包みこむ 優しい温もりがあった 「大丈夫…死なない。絶対死なさないから」 不思議と手越先生の温もりは なんだか信用できて安心もできた .
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