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貴久Side
指定された病棟に着いてからのことは
あんまり記憶がない
ただ、看護師さんに案内された病室のベッドの上に座ってて
窓の外をぼーっと眺めていた
「…やっぱり、死んじゃうのかな?」
気付いたら涙がポロポロと流れていて
誰かが僕の病室の扉をノックしてたけど
そんなのどうでもよくて
返事をしなかった
「増田…くん?」
「先生、僕…やっぱり死んじゃうの?」
僕はとめどなく溢れだす涙をほったらかしにして
主治医であろう目の前にいる
手越先生に聞いた
そのまんま沈黙が流れて
突然、僕をふわっと包みこむ
優しい温もりがあった
「大丈夫…死なない。絶対死なさないから」
不思議と手越先生の温もりは
なんだか信用できて安心もできた
.
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