1671人が本棚に入れています
本棚に追加
浸っていた瞑想の世界に、都会的な声が割り込んできた。
「これが“甲子園”なんだ」
「……あたしも…… ここでやきゅーしたいよ……」
父親と娘らしきふたり連れの会話――
無理なのに。
それでも、自分と同じ年頃の少女に無謀な夢を抱かせるほど壮大な球場なのだと……瞑想の世界から抜け出した逸斗は、あらためて“甲子園”の魅力を感じていた。
そして、思わず独り言をもらす。
「……オレも…… ここで野球したい……」
「オレもや。 ハヤト、絶対、一緒に甲子園に
来ような」
自分に向けられた言葉だと思ったのだろう。
逸斗の呟きに、楠本が力強く応えた。
最初のコメントを投稿しよう!