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――ゆるゆると、だが確実に時は流れる。
逸斗が白球と出逢ってから、7年が経った。
チーム最年長になってからは、彼の努力にとやかく云う者はいない。
それどころか、彼と楠本の姿勢に牽引される者が増え、チームのレベルは格段に上がった。
逸斗のチームが全国大会出場の切符を得たのは、必然。
そして、その大舞台で決勝進出を決めたのも、必然――
多投しないとの約束で監督から教わったチェンジアップ。
その変化球と自慢のストレートを駆使する逸斗の投球は、小学生らしからぬ華麗なものだった。
たまにすっぽ抜ける球をヒットにされるくらいで、後はほぼ完璧な内容。
攻撃の中心である楠本の存在感も超級で、決勝戦も大勝できると誰もが思った。
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