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標準的な身長に、痩せっぽちの躰。
決して恵まれているとは云えない体躯の女子選手は、ストレートとカーブのみのシンプルな投球で凡打の山を築く。
やはり、自分の直感は正しかった――逸斗は水面(ミナモ)に映る朝日のように光る眼差しをマウンドへと向けた。
おもしろい。
だが、これは真剣勝負。
どんな相手にも負ける訳にはいかない。
「気合い入れていくで!」
投打共に充実している逸斗の喝に、チームメイトも吼(ホ)えた。
相手が女子選手だから、という訳ではなく、ここは経験が物を云った。
いつもはベンチか外野を守っている女子選手を攻略するのは、ある意味容易だった。
とは云っても、完全に攻略できた訳ではない。
奪った得点は“3”――
だが、勝利に充分だったその点は、これまでの逸斗のチーム成績から見ると少ないものだった。
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