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対面に立つ女子選手は、悔しさを噛んだ口唇に滲ませていた。
だが、それも束の間、一礼して挨拶を交わす時には、その瞳に清々しさを湛えていた。
楽しい決勝戦だったと、そう思ってくれているに違いない――
逸斗は小さなその手に握手を求めようとアクションを起こす。
だが、陽に焼けた逸斗の右手は女子選手に届かなかった。
半ば無理やり……女子選手はチームメイトに踵(キビス)を返され連れて行かれのだ。
そう、“無理やり”……
少なくとも逸斗の目にはそう映った。
気になってしかたがなかった。
何が何でも女子選手と握手をしたい訳ではない。
だが、なぜ健闘を讃え合う事を阻止されたのか……
その答えを知りたい、知らなければならないと逸斗は思った。
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