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交わした約束は果たされると信じて――
逸斗は白球を握る手に力を籠めた。
彼女に力強く宣言した通り、スライダーを憶え、ひたすら投球練習を繰り返す逸斗。
スポンジが水を吸収するように、逸斗も楠本も、その才能を努力という活力剤で開花させてゆく。
大切な友、楠本が一緒なら、どんな困難も乗り切れた。
そして、彼らの勢いは、太陽のようにチームメイトを照らし導く。
リトルリーグ同様、シニアリーグでも全国優勝を手中に収めるのは必然だった。
だが、勝利の美酒に酔いしれるはずの逸斗の心は、どこか空虚だった。
対戦は叶わなくても、開会式で逢える事を淡く期待していたからだ。
『蒼真 流風』――成長した彼女に。
約束はやはり、約束のまま……
叶わないのは、自分が突っ走りすぎたからではないかと、逸斗は一瞬だけ己を責める。
だが――
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