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質問も答えも……ふたりの間に、言葉は必要なかった。
自分を抱きしめる逸斗の温かい腕が好きだと云っている。
触れた逸斗の胸から響く鼓動が愛してると叫んでいる。
どんな理由で自分の許を去ったのか──
それも、訊く必要はない。
遠回りであっても、こうして逸斗は戻ってきた。
「……傀藤…… くん……」
自分の許へ──
背中に回る流風の手が好きだと云っている。
触れた流風の胸から響く鼓動が愛してると叫んでいる。
どんな理由で彼女の許を去ったのか──
今は、何も話さなくていい。
「“蒼真 流風”さん」
いつか……
「オレと、結婚してください」
共に歩み、緩やかに時を重ね、互いの顔にしわが増えた頃、陽だまりの縁側で昔話のように話せる日が
「……はい」
きっと、くるから……
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