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結局、円の芝居のせい(寝坊したボクも悪いけど)で遅刻してしまった。
学校に着くなり、1年生のころからの担任里井 麻子(サトイ マコ)先生、通称マコちゃんに盛大にお説教を食らい、おまけでマコちゃんの水の魔法を頭から浴びたせいで制服が水浸しに……ちべたい。
更衣室で水浸しの制服からジャージに着替えたボク達は、クラス分けで割り当てられた教室に向かっていた。
「まったく……誰かさんが寝坊したせいで、とばっちりを食らったわ……」
腰まである綺麗な黒髪をタオルで拭いていた円が、ボソッと呟
く。
「確かに、誰かさんが下手な芝居でもしなきゃ間に合ってたね」
「下手とは言ってくれるじゃない……
即興で考えたにしては上出来だと思うけど?」
「はいはいソーデスネー」
「……棒読み全開で言われても嬉しくないわよ」
ぶっすー、と顔を膨らませる円。円は、大きな目長いまつ毛……、と容姿も整ってて、背も高い(170cm)のに、思考が稀に、いや頻繁に変な方向に行くからなぁ、それさえなきゃ完璧なのに……モッタイナイ。
始業式は終わっているのか、数人の生徒が廊下に居た。大半がボクと同じ2年生だ。
そんな中を、ジャージ姿のボク達は歩いていく……時々変な目で見られながら。
(後で覚えてろマコちゃん……)
逆恨み?ボクの辞書に、そんな文字はありません。
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