Thrash Side

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「ふぇ!?べ、別に私達はそんなんじゃ……!」 顔が沸騰してしまいそうな勢いで紅く染まる稲石さん。 初めて見る稲石さんのそんな表情に私は少し興味が湧いてみたり。 ちょっと頭の隅っこに悪戯心が芽生えた。 「なるほど。………ということは稲石さんの片想いというわけですか?」 「い、いや、だからそんなんじゃなくて!───あたしと稜は『ただの幼なじみ』だよ……」 稲石さんは俯いてそう小さく呟いた。 ……『ただの幼なじみ』の話でそんなに紅潮するわけないよね。 稲石さんを見ていると、私にも幼なじみがいたことを思い出す。 「『ただの幼なじみ』…ですか。なるほど。私にも幼なじみがいましたが、今はもう……」 「え?まさか……」 私は声のトーンを下げて暗い雰囲気を演出する。 稲石さんは顔を上げて私を正面から見た。 そして私はこう続ける。 「隣町の高校に毎日元気に通っています」 「………」 稲石さんは呆気に取られた顔をしていた。  
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