相合い傘

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 窓の外を見て、私はため息をついた。  空は生憎の雨模様。  天気予報では今日一日晴れると言っていたが、どうやら外れてしまったようだ。  やれやれ、と肩をすくめながら、再び手を動かし始める。  放課後の教室。先生に仕事を押しつけられ……もとい、頼まれたから遅くなってしまった。  本当なら、友達の傘に入れてもらおうと思っていたのに。  考えてもしょうがない事だが、やはり先生を恨めしく思ってしまう。  胸の内で先生を罵倒してみる。少しは気が晴れたかな。  そんな事をしながら、教科書をカバンに仕舞い終わり、立ち上がる。  靴を履き替える間に止んだりしないかな、なんて思いながら、私は下駄箱へ向かった。  だけど、やっぱり現実ってものは厳しくて。  当然の如く、雨は止んでいなかった。  しばらく、待ってみたけれど、空から降ってくる水滴は、止まるところをしらなくて。  あーあ。仕方が、ないか……。  帰ってすぐお風呂に入れば大丈夫かな、と濡れるのを覚悟して、一歩目を踏み出したところで、 「傘、入ってく?」  後ろから声を掛けられて、出鼻をくじかれた。  まだ人が残ってたんだ、なんて事を考えながら振り返る。  そこにはクラスの男子がいた。どこにだって一人は居るような、平々凡々な人。 「補習?」 「いや、委員会でちょっとね」  私の冗談に首を横に降りながら、彼が答える。 「それで、どうするの?」  え? 何が?  疑問に思い首をかしげると、彼が苦笑しながら再び問う。 「だから、傘に入れてあげようか、って」  成る程。最初の発言はそれだったのか。  彼からの誘いは、私にとって、ありがたいものだが、 「迷惑じゃない?」
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