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二月。 比較的暖かいこの辺りも、やっぱり寒い。 雪など滅多に見ないけれど、今日は今シーズン一番の冷え込みで、さっきの天気予報によると今夜あたり雪が降るかも…と言っていた。 そんな、日曜の夕方のこと。 台所で夕飯の支度をしていた母の、いつも通りの少し不機嫌そうな声音が響いた。 「咲良~。神様の御神酒下げてきてぇ~」 「えぇ~ッ。お母さん行ってきてよぉ」 居間で炬燵に潜りながらテレビを見ていた私は、あからさまに嫌そうな声で抗議する。 「罰当たりな事言ってないでッ!お母さん忙しいんだから、早く行ってらっしゃい!」 「……はいはい。わかりましたよ」 確かに罰当たりな物言いだったな、と内心反省しつつ、それでも一度表に出した不機嫌さはなかなか引っ込められないまま、どっこらしょと腰を上げた。
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