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家の裏は、すぐ山になっていて、昔は土砂崩れの被害にもあったそうで、今は急傾斜工事がされている。 でも、まだ私が子供の頃は此処には防空壕が二つと、小さな祠があった。 今ではその祠は場所を移動して、庭の"家庭菜園"というには少し広い畑の側にある。 その祠に手を打って頭を下げると、鳥居の周りに、上げてあった御神酒を撒いた。 153㎝の小柄な私が、しゃがんだ態勢でちょうど目線を同じくするくらいの小さなお社。 子供の頃、お稲荷様だと信じていたその神様は、母曰く『セイノカミ』なのだと最近になって教えられた。 『精の神』 って書くんだって。 教えられたところで、何の神様なのかもわからないのですがね。 母も、昔来たなんだか難しい学者さんが『この祠は珍しいから大事にお祀りしてください』なんて事を言っていたらしく、元々信心深い祖母も母も事ある毎に手を合わせ、お稲荷様じゃないって言われてもやっぱり油揚げをお供えしたりして(良いのか?)大事にしているが、実際何の神様なのかと訊けば「さあ…」と首を傾げていた。
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