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「…死なせない」
次いで、いきなり視界が回転し、背中が冷たい床に押しつけられたかと思うと、
「っ…!?」
唇に何か柔らかいものが触れ、そこから少し暖かい空気が流し込まれてきた。
一瞬、目の前が真っ白になる。
「…っ、げほっ!」
流し込まれる空気で満たされた俺は、一気にせき込み、俺の身体は、呼吸を再開させた。
「…大丈夫ですか?」
背中を撫でられ、咳がだいぶ治まった俺は、事故ではあったが、さっきの古泉の行動を思い出して、顔を真っ赤にした。
『死なせない』
切羽詰まった中で、思わず漏れたような、あの強い言葉が、脳裏にはっきりと残ってる。
「キョン君?」
「へっ?あ、あぁ…っ!」
起き上がり、慌てて古泉と距離を取ろうとして、背中にはしった痛みに思わず息をのむ。
「痛むんですか?」
頷くと、ふと古泉は俺の後ろに回り込み、
「え?」
後ろから俺のブレザーをするりとはぎ取った。
「ち、ちょっ…!」
「動かないで」
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