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「起きるんだホー」
友人の結婚式に招かれて仲人としてお祝いのスピーチなんてしてしまい。
挙げ句の果てには後半噛み噛みながらもなんとか喋り終わったと思ったらあの忌々しい双子が仕掛けた悪戯で(俺が)恥をかいた次の日。
母国とは違い、無理矢理飲ませてくるオヤジも酔った勢いでしなだれかかってくるオバサンたちもおらず、とても品の良い宴会が終わってすぐに家に帰った。
積もる話しもあったけど、俺にはどうしても明日中に仕上げなくてはいけない仕事があったし、あんまり長居するなと年上の友達にも言われていたからだ。
理由は知らないけど、不機嫌そうだったから従っておいた。
そして家で待っていた腹ペコの悪友をパーティの手土産で軽くあしらって、作業に取りかかるために部屋にこもった。
ここのところ、この仕事にかかりっきりであまり寝てなかったのが祟ったのか、俺は気がついたら瞼を閉じて眠ってしまったらしい。
俺を起こしてくれた悪友の声で目が覚めた。
「起きるんだホー」
「―――っくあー!……あー、寝ちゃったんだな」
作業机にはいくつか魔法の道具があるのだが、その中の銀製の天秤に、俺の悪友が乗っていた。
「…やっと起きたかホー」
「おお、おはようホー助。って…」
俺の悪友――黒ふくろうのホー助が心なしか清々しい顔で起こしてくれたのだがそれはそれ。その場所にいてもいいという理由にはならない。
「ホー助ぇ、いつも言ってんじゃん。その天秤には乗るなって、高かったんだからなぁ!」
「我の見立てなのだから高くて当然だホー。安くては困るホー」
…だから
「困るのは俺の方だ!確かに純銀製のより安くて良いのを見つけてくれたのはあんただけど、それでも俺の年収に相当する値段なんだからな!?」
「グリンゴッツで親の金を換金した奴が何を言うかホー」
「ちゃんと仕送りしてもらったんだから良いだろう!」
「はぁ…。あのポッターが結婚したというのにいまだに親から仕送りをもらっている男が我の宿主とは…」
「……。」
「世も末だホー」
「言ったなこの面白トサカ!」
「言ってやる、言ってやる。葉っぱ大好き男」
「ふくろうのクセにネズミも捕れない鈍臭い奴!」
「鈍臭っ……!彼女なしのご無沙汰男め」
「それは言わない約束だろうが!」
「そんな協定結んだ覚えはないホー」
「察しろ!」
朝から元気なものだ。
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