妖怪?いいえ、魔法使いです

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ッキャウウウン… 当たった。 が、狼の勢いは止まらず最後のひと蹴りで俺のところまでたどり着き、顔に陰が… 「まっ、待て待て待って!まっ……ぐぅえ」 急に走るのやめると後が辛いよね。 避けきれず 結局狼 体当たり 「そんで下敷きってか…。あーかっこわり。やるなら最後まで決めろよな俺…」 危険がなくなるとだいぶ肩に力が入っていたことが分かる。 ついでに手ぇ震えてるし。 柄にもなく緊張してたのかよ。 「ははは…」 死ぬかと思った。 でも生きてる。 取り敢えず良かった、何も知らないまんま終わるってことはなさそうだ。 なぁ、ホー助 俺死にそうになったんだけど 死んでたらどうすんだよ お前まで消えてなくなるんだぜ 「…その関係はおわったんだっけか」 狼の下から這い出て、傍にあった木に背中を預けて座り込み空を見上げる。 真っ青な空だ。 「ここ、何処だろうな…」 ポツリと呟いた言葉は誰にも拾われず、空中に溶ける。 はずだった。 視界の端に草むらが動くのが入る。 またかよ、と杖を構えて一応の臨戦態勢に入りそちらに体を向けて見る。 なんと、いたのは子供だった。 「…お?」 「………っ!!」 気づかれたことに気づいたのか、子供の肩が大きく跳ねる。 助かった。 子供がいるということはここは少なくとも未開の土地ではないんだ。 子供の着ている着物も簡素だが品があるし、素材が良さそうだから野性児でもないだろう。 あれ 着物って確か日本の衣服だよな しかもだいぶ昔の普段着だ …あら? 「…っ、お前!!」 おお日本語、久し振りに聞いたよ 「お前は…」 そういえばこの子供右目に包帯ぐるぐる巻きにしてるな。 怪我でもしたのか? 「あ、妖[あやかし]か?」 あやかし?って妖怪のことか? 「いや、妖じゃなくて魔法使いだよ俺」 「……は?」 あ、間抜けた顔がかわいいなコイツ。 .
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