嵐はいつも突然に

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「新選組副長土方歳三とお見受けします~」 不意に、間の抜けた声が聞こえた。 ゆっくりと振り返ると、十代半ばくらいの少女がニコニコしながら俺を見上げていた。 「そうだが」 俺が答えると少女は更に笑みを濃くし、そのぽってりとした唇を動かす。 「弟の仇~」 少女はスッと身を屈めたかと思うと、もの凄い勢いで大刀を抜いて斬りかかってきた。 「うぉっ!?」 俺は間一髪刃を受け止める。 甲高い金属音が鼓膜に響く。 「弟を殺しておいてのうのうと生きてるなんて許さないです~」 少女は細腕の割に力が強く、俺は持ちこたえるのが精一杯だった。 それでも渾身の力を込めて刃を弾き返す。 「いっ…!!」 それは少女の顔に当たり、少女はゆっくりと倒れたのだった。
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