黒き少女の邂逅

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声にもならない絶叫を上げて布団から起き上がる。 体中が汗でびっしょりで服が張り付いて気持ち悪い。 久しぶりに母の夢を見た気がする。 ここのところ嫌な夢ばかりだ。 時間を見ると5時5分だった。 ちょうどいい時間だ。 約束は6時に校門だから軽くシャワー浴びて着替える位の時間はあるだろう。 風呂場に移動し服を脱いでシャワーのノズルを捻る。 生暖かいお湯が全身から汗と共に恐怖も洗い流していく。 母との思い出は楽しいものばかりだ。 貧乏だったが,女手一つで俺と夕妃を育ててくれて。 仕事が休みの日はいつも俺達の側で優しい笑顔を浮かべてくれた。 俺達は母さんが大好きだったしそんな生活が大好きだった。 だけど母さんの夢は見たくない。 必ずあの時の夢を見るからだ。
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