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(ぷしゅー…)
気の抜けるような音とともに、大量の蒸気があたり一面を埋め尽くす。
「ぶわっ!? は、ハカセ!煙盛りすぎじゃね!?」
「そ、そうかな…い、いーんだよっ!大は小を兼ねるんだよっ!」
いや、そういう問題じゃないでしょ…
「なに!?文句あるんなら帰るよ!?帰っちゃうよ!?」
「い、いや、いいや…」
こんなどうでもいい問題で帰られてしまってはたまらない。
僕は慌てて両手を顔の前で振ってみせた。
「…で、これがその…」
「そう、『マイロイド』だよっ」
自称アラサー、鉄壁の身持ちを誇る彼女は、詐欺なのではないかと疑いたくなるほどに可愛らしく胸を張った。
「でもさ、ハカセ…」
「うん?なんじゃらほい?」
「………目、開かないよ?」
「…えっ?」
言うと同時に、彼女の首が180度回転した。
…大丈夫なのかな、とか無駄な心配をしている僕。
物語はここ。
小さな僕の六畳一間から始まりを告げようとしていた…。
…
……
………
「あ、あれっ?おかしいなぁ…マイロイドちゃーん?おぉ~い?」
…始まりを告げるんだよね?ハカセ…?。
「だ、大丈夫さぁ!私に任せとけば全部安心だよー!」
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