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「…興味あるの?」
我ながら、バカな質問だと思う。
「…ハイ」
だよね。
あんなにじっと見てて、興味ないわけがない。
「んー…」
明日の講義は、あれとあれで…ゼミもないし、時間も…まぁ大丈夫かな。
「…行ってみたい?」
「っ!」
問いかけると同時、パトラが弾かれたように振り返った。
「いいんですか?」
「うん」
大学は、中学や高校と違って、部外者が普通に入り込める。
特にうちの学校はそのへんゆるいし、ゼミにさえ連れて行かなければ大丈夫だろう。
ゼミはさすがに少人数だし、バレると思うけどね。
…まぁ、それ以前にゆかりもいるし。
「ありがとうございます…!」
心なしか、お礼を言う声も弾んでいる。
…なんだか僕も、ちょっと明日の学校が楽しみになってきた。
「…あ…」
「…?」
「あ、いや…ごめん、なんでもない」
あわてて手を振ると、パトラは頷いて再び景色を眺め始めた。
「………」
何気なく手を入れたポケットには、固い感触。
頑張ろう…いや、頑張らないといけない。
…うん、明日から頑張ろう。
第二章・おわり
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