プロローグ

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
僕は何も考えずに、誰もいない路地裏を歩いている。何故ここに来たかも覚えていない。とりあえず、歩く。歩く。歩く。この路地裏はどこまで続いているのか、あるいは同じところを回っているだけなのか、果てしなく続いている。ひたすら歩く。周りにあるのはコンクリートの建物の壁、放置された自転車、捨てられたがらくた。ひたすら歩く。無心に歩く。 どれくらい歩いただろう? 道端にある一つのモノに目を奪われた。ここでずっと歩いてきたが、一切の生気あるものは無かった。だが、そこには小さな鉢植えがあり、小さな花が咲いていた。その近くにしゃがみ込み、ずっと見つめる。 「その小さな花が気になるのかね? 」 胡散臭い声がした。僕のではない。立ち上がり後ろを見ると老人が杖をついて立っていた。こちらが目を向けるとニヤリと笑い言う。 「どうやら、君には才能があるようだな。」 才能? 何のことだ? 「今の君には言っても理解できないだろうし、まだ理解すべきではない。」 意味のわからない事を言う人だ。 「さて、君に頼むとするか。」 何をだ? 考えてる間に老人の中で全てが進んでいく。 「君には異世界を旅してもらう。期限もないし、自由だ。ただし、死んでもこちらは知らない。以上だ。」 口を開こうとした瞬間、周りが白濁し、何も見えなくなり、意識が途絶えた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!