第2章 悲しき魂の行方

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(それが、戦争なのかもしれない・・・)  漆黒の闇の中で儚く消え去っていく輝きを横目に見ながらカズミは他人事のように思った (自らの存在が生きる事を見失えば、存在する意義すら失ってしまう)  生きること、それは過去の歴史の中で多くの人々が物語ったエゴイズムの境地であり、その欲求は満たされずに執着へと変貌する  そして、繋がりだけが悠久の流れの中で繰り返されていくに過ぎない 「人の革新は悠久の流れにかき消されていくだけなのかもしれないわね」  未来、過去・・・そして現在、人はそれぞれの刻の中で何かの繋がりを無意識の内に感じ取り、それぞれの行く末を導きだし結果として今の刻を生み出しているのかもしれない  だからこそ、その事柄に何かの因果性を捜し出そうとする者が現われるのだろう  カズミは間違いなくそんな人間の一人だった  そんなことを考えながらブリッジに向かっていたが、何か奇妙な感覚がカズミを通路に立ち止まらせた  周囲には誰もいない、けれど何か不思議な感覚がカズミの意識を横切った 「・・・なんなの?」  嫌な胸騒ぎに襲われているのが無意識に感じ取れた
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