第2章 悲しき魂の行方

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 鳴り響く警戒音、緊迫した空気が辺りを包み込む中でカズミは痛みに必死に耐えながらブリッジへと急いだ (所属不明の艦隊・・・Aspと見るのが妥当・・・よね)  ふっと脳裏を横切った疑問、なぜAspと云わず所属不明の艦隊と表現したのかだった  どの艦隊にも外壁部に所属の旗章が掲げられ、互いの同士討ちを防ぐ処置が施されているのが通常だった  その旗章を照合すれば、どの艦隊に属する船籍かが分かるはずなので所属不明の艦隊というのは実質的にはありえないことだった  カズミの足取りが自然と早足になり、同時に何かが起きようとしている事を直感で感じ取った  ブリッジへと続く扉の前で、乗船前に与えられたパスカードをスリット部に読み込ませる  開いた扉の先ではクルー達の罵声が飛びかう異様な雰囲気に、カズミは一瞬ブリッジに入るのを躊躇った 「艦隊からの応答はあったか!」  一段、高い位置に座る艦長が身を乗り出しながら叫んでいる 「再度の呼び掛けにも返答ありません、所属不明の艦隊は戦闘態勢を維持・・・」  モニターを見つめながら淡々と報告するクルーの間にも困惑が隠しきれないのは容易に汲み取れた 「第一種戦闘態勢を維持、そのまま呼び掛けを続け!・・・Aspじゃないのか?」  誰もが困惑する中でカズミは艦長の傍にゆっくりと近づいて行った
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