第2章 悲しき魂の行方

8/14
前へ
/24ページ
次へ
「・・私に彼らと話をさせてもらえないでしょうか?」  突然の問い掛けによって艦長はようやくカズミの存在を認識したようだった 「えっ?・・・あぁ、カズミ評議員、いつお越しに?艦隊の解析、急がせろ!」  軽く会釈を交わし、すぐに視線をモニターへと向けながらクルーに指示を飛ばす 「すいません、そのお気持ちは分かりますがお父上の件もあります、もしあの艦隊の目的が貴方だとしたら・・お察しください」  視線をこちらに向けることなく艦隊の動きが映し出されたモニターを見つめながら語り掛ける艦長に対してカズミは何も言えなかった  [アイリスの悲劇]以降、カズミの周囲の環境は一変した  今の彼女はRapeaにとって最重要人物として評議会によって保護されていた  平和的対話による解決を模索した故に命を失ったルイス・レインズ、そしてその遺志を継いだカズミ・レインズの存在はRapeaのとっては象徴であり、Aspにとっては脅威となりうる存在であった  緊迫した今の状況では彼女の存在がAspの宙域に在るというだけで争いの火種にもなりかねない  それが痛い程、分かっていたためカズミはそれ以上の言葉を発することができなかった
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加