序章 つかの間の安らぎ

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西暦3084年 人類の傲慢が母なる居場所を汚染し数多くの紛争を生み出した 民族、宗教、人種の違い、争いの火種はどれだけの歳月が過ぎ去ろうとも消え去ることなく、その愚かな行為は人類に母なる居場所を失う寸前にまで至らしめていた  大地は紛争に使用された戦略的核に汚染され、人類は新たな居場所を求めたが、重力に魂を奪われた彼らの多くは核の汚染から身を守る術を母なる大地で捜し出し留まった  だが、一部の人類は宇宙へと新たなる居場所を求め重力に引かれた魂を解き放った  彼らは月と地球の重力が相互作用する地点(ラグランジュポイント)に移住居となる場所、人工移住区画ラグランジュエリアの建設を開始した  巨大な密閉された空間に人工的な大地を造り出し移住する大規模な人類移民計画、その一端を担う人工移住区画ラグランジュエリアの建設は当初の計画よりも大幅に難航し、尚且つ過酷な労働も加担され建設に対して疑問の念を抱く者も現れ始めていた  同じ意志を持ち、希望という名の下に集った者達のはずだったが、人のエゴは時として残酷な別れを告げることもある・・・だが、人は自らの意志と決別する時代が確かに存在する  彼等の時はエゴの波に飲み込まれていった  彼等が地球の重力に惹かれた魂たちと決別する際に使用した船が今度はエゴが生んだ新たなる革新を求める人種に占拠されるに至り彼等は新たなる決別を迫られた だが、しかし・・・彼等は争いを拒んだ
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