序章 つかの間の安らぎ

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 だが、それは一部の者達にのみで、多くの者達は彼等の存在は過去の記録による史実程度でしかなく既に人々の記憶の中から忘れられていることなど彼等には知る由もなかった  しかし、彼等は怯えていた・・・偽りの恐怖に  いつしか、彼等の忌み嫌う武力に身を委ねようとしていたとしても誰が彼等を責めることが出来ると言うのだろうか・・・否、誰にも責めることなどできるはずがない  宇宙は奇妙な混沌と困惑に満ちていた  彼等の誰かが間違いを侵せば世界は闇に包まれる  一触即発の不安定な緊張の中で時の流れは静かに、だが確実に張り詰めた緊張を解き放つ瞬間へと近づいている・・・  そして、人の心が・・・世界に絶えること無き争いの火種を産み落とした  きっかけを作ったのは地球に残った者達だった  彼等が地球規模の国家を形成したのだ  それは、過去の過ちの訂正を模索した多くの指導者達が主体となり統一国家共同体Aegis(アイギス)を創設し紛争後の民族ごとに散らばったコロニー群を円滑に統括し始めた  同時に宇宙に移住した者達の存在を完全に消し去ることも忘れなかった
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