序章 つかの間の安らぎ

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 なぜならば、統括する者達から見れば彼等の存在そのものが危険分子であり、ようやく終結し始めた争いの火種を再度、生み出しかねない点から当然のことだった  だが、その行為が結果として裏目に出るなどとは指導者の誰一人として気付いていなかった  漆黒の闇の中で見つめ続けてきた彼等にとって、巨大国家の誕生は張り詰めていた偽りの恐怖を爆発させるのには十分すぎる出来事であった  時に西暦3120年、ラグランジュエリアの一部の過激派が・・決起した  彼等は自らをラグランジュ解放戦線Asp(アスプ)と名乗り、地上で忘れ去られた人類の革新と自らの存在意義を誇示するため、永き争いの火種を産み落とした  残された者達は彼等を削除しようと躍起になり、それが新たなる反感を呼び起こした ある者は未開の地である月に逃れ、またある者達はParzivalに身を寄せ、絶え無き火種の行く末を見守り続けた  あれほどまでに団結し非武力を維持し続けた彼等の脳裏に一つの言葉が苦々しく浮かび上がる  分裂・・・その言葉がラグランジュエリアに浸透する時代、非武力の精神を維持し続けた過去は哀しげに・・そして儚く流れていく
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