嘘吐きと眠り犬

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ぼんやりと灰色の空を見上げた瞬間、唐突に、いきなり俺は気付いてしまった。 ――俺は嘘を愛している。 と。 そして俺は無意識に嘘を吐き、一体なにが嘘でどれが真実か全く解っていない事にも気付いてしまった。 そう、俺は正真正銘の「嘘吐き」なのだ。 自覚がない、タチの悪い嘘吐き。 今は自分が嘘吐きだと理解したが、やはりどれが嘘なのか解らないので自覚がない嘘吐きだ。 「それでも何とも思わないんだもんな」 普通の人間なら正真正銘の嘘吐きだと気付いたらどれが真実でどれが嘘か自分でも解らなくなる。それは今まで自分が大切にしていた人物は、もしかしたら嫌いなのかもしれないという事実。そうなれば鬱になるだろうに。 俺は「全くもって傑作」と笑うと、ようやく帰路に着いた。 高校一年生。 凍えるような寒い冬。 まだ雨が降り注ぎ雪にならない、そんな日だった。
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