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「なんだよ、俺がいちゃ悪いか?」
「悪いよ!!」
不満気に聞くこの男に、あたしは即答した。
一人で住むために来たのに、先客いたら意味ないじゃん!
「んなキッパリ言うなよ、ヘコむじゃねーか」
「勝手にヘコめ!!」
あたしはヤケになってこの男……いや、幽霊を睨み付けた。
まさか引っ越した先に幽霊がいるとは思わないでしょう、普通。
そして、あたしが一般的な人だったら、決してこの男の存在に気付くことはなかったんだろう。
あたしは、世間一般で言われる『見える人』の類。
見えちゃいけないものが、見えてしまうんだ。
まぁつまり、霊感というものを持っているわけだ。
しかも、結構強い方。
いらないのに。
まぁ来てしまったものはしょうがない。
しばらくは……学校を卒業するまでは、コイツと付き合わなければならないらしい。
まずこの得体の知れない男が害を与える類のものか知る必要がある。
……なんかバカっぽいから、あんまり害はなさそうに見えるけれど、念のために。
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