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しかも大恋愛とか言い出しやがった。
そして先に断わっておくことがあることに気付いた。
「あたしアンタと恋なんてしたくないからね?」
「ちげーよ未練の理由!!お前と恋に落ちたいなんざ考えてねぇ!!」
……なんか言い方がムカつくけれど、とりあえずこの男は誰かしらと恋がしたいらしい。
霊同士で恋って成立するのかは疑問が残るところだけれど。
「ただ……それ関係で満足できりゃいいんだろ?知らねーけど」
「別にお祓いしてもいいんだけど……」
「やだやだやだ」
ガキか。
でもさすがのあたしもお祓いできるほどの能力があるわけではないことは自覚している。
それに霊が見えちゃってるのにそんな人でなしみたいなことをするのはさすがに気が引ける。
おとなしく手っ取り早くこの男を外に葬ってやる手段を考えるしかないだろう。
「生前は、果てを知ることがなかった」
と、ポツリ呟く。
「今の世界以外は、俺も知らねーけど、でも成り行きの果てを知りたい」
「成り行きの果て?」
「生きてるなら寿命ってやつ。霊になったなら成仏ってやつ」
……成り行きの果て、ねぇ。
「俺は女に強制終了させられた。しかも18だぜ?まだまだこれからって時に……」
もしかしたら、コイツは青春をエンジョイしたかったのかもしれない。
恋とか、友情とか、結婚とか、そういう当たり前の幸せを感じたかったのかもしれない。
でも、どれもうまくいかなかった結果……なんだろうか。
「……ねぇ、あたしもアンタが成仏できるように頑張る。だから一つ、協力してほしいんだよね」
「協力?」
「うん……あたしも、大恋愛がしたいの」
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