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「ああそうだよ田仲。僕だよ、片桐だよ。覚えていてくれてるなんて嬉しいな。僕のことなんて忘れてると思っていたよ」 先程までの痛みがまるで無かったことのように、全く怪我の痛みを感じない。 「久し振りだな」 何もなかったかのように平然と挨拶をしてくる田仲を見て無性に腹が立った。 さっきはあんなに動揺していたくせに。 「なあ、小中学校の頃覚えてるか?」 本当は覚えているかどうかなんてどうだっていい。 「あ、あぁ。そりゃ覚えてるけど。それがどうかしたか?」 声が震えている。 隠そうとしているが全く隠せていないといったところだろうか。 しかし、今の僕にはその反応が逆に腹立たしかった。 「おまえが僕にしたことも覚えているよな?」 田仲が息を呑む音が伝わってきた。 表情を伺う。 電灯の薄明かりが辺りを照らしているために顔色が悪いのがよく見てとれた。 「ああ、あの時はすまなかったと思っている。許してくれとは言わない。何でも言ってくれ、何でもする」
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