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彼の後ろで乗降扉が締まる音がして、バスが発車した。
彼はバスの中を一通り見渡すも、空席がないので優先座席の真ん前で天井から下がっている手すりを右手で持つと、揺れる車内から見える景色に見入っていた。
「久し振りですね、するのは」
志央莉が、自分の膝の上に置いたノートPCのキーボードを操作しながら言った。
「せやねん、前が、えっと一か月前や」
真璃愛は一か月前のことを思い出すように、走るバスの車内から移り行く窓の景色を見た。
「そういえばタコ焼き食べてみたいわぁ。家はずっと明石焼きばっかりやったから。なんかダシじゃなくてソースで食べるんだって」
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