プロローグ

3/9
前へ
/403ページ
次へ
「おい、起きろ!」 その声で目が覚めたのだが、同時に、背中に尖ったもので突かれたような痛みが走った 「イッ! 馬鹿! ヤメッ!」 言葉を発した後、なにで突かれたのか確かめるため振り返ると、全身黒い服装であまり手入れをしていない長い赤髪の男が2m強はある槍を持って立っていた どうやら槍で突かれたみたいだが、軽く突かれただけだったため、怪我らしい怪我はなかった。が、それでも目を覚ますには十分な痛みだ 振り向いただけでは首が痛いので、回転式の椅子をクルリと半回転させ、突かれた背中を摩り、赤髪の男を見た 「目が覚めたか?」 「はい、覚めました……」 皆さん、おはようございます。俺は【神谷 光希】ちょっとした店を経営している者だが、詳しくはまたあとで 「ほら、頼まれていものだ」 赤髪の男は手に持っていた書類を少し乱暴に俺に渡してきた この男は【ウルフィエル・サーヴォイト・紅蓮】 俺の相棒であり、店に住み込みで働いている定員である 常に冷たい印象を与えているが、それとは裏腹に根は熱い男。単に人付き合いが苦手なだけだ 「お? ありがとな。いやぁ立て込んでたことはこれで大体おわったな」 軽く笑いながら書類を受け取り、自分の机の上に置いた 俺を起こしたのは、頼んでいた資料のまとめが終わり、渡すために起こしたみたいだ 「俺は肉体労働の方がいいがな」 腕を組み、ため息のように息を吐きながら、そんなことを呟く紅蓮。俺は肉体労働はあまり好きではないが、紅蓮は逆で体を動かすことが好きな奴だ 「まぁそういうなって明日は依頼があるから」 「まぁな」 依頼……俺の住む世界は魔物やら妖怪やら色々な生き物がいる。そのため、そういった生き物から被害を受けることがある。レベルの低い相手なら自警団がなんとかするのだが、自警団で対処できないものは依頼という形でギルド等に回される ここでは、ギルドを経営しているため、色々な依頼が来る 「最近は平和だからね。依頼がないのは寂しいけどいいことだよ」 「そうだな」 ここ一年は大きな依頼もなく、平和な日々が続いている 俺としてはうれしいのだが、紅蓮は存分に動くことができず、少々ストレスのようなものが感じられる 「明日もあるし今日の仕事はここまで。さ、帰った帰った」 「了解」 多少無理矢理に紅蓮を部屋から出し、俺は机の上を片付けた後、ベットに入り、眠りについた
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!

179人が本棚に入れています
本棚に追加