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「おい、起きろ!」
その声で目が覚めたのだが、同時に、背中に尖ったもので突かれたような痛みが走った
「イッ! 馬鹿! ヤメッ!」
言葉を発した後、なにで突かれたのか確かめるため振り返ると、全身黒い服装であまり手入れをしていない長い赤髪の男が2m強はある槍を持って立っていた
どうやら槍で突かれたみたいだが、軽く突かれただけだったため、怪我らしい怪我はなかった。が、それでも目を覚ますには十分な痛みだ
振り向いただけでは首が痛いので、回転式の椅子をクルリと半回転させ、突かれた背中を摩り、赤髪の男を見た
「目が覚めたか?」
「はい、覚めました……」
皆さん、おはようございます。俺は【神谷 光希】ちょっとした店を経営している者だが、詳しくはまたあとで
「ほら、頼まれていものだ」
赤髪の男は手に持っていた書類を少し乱暴に俺に渡してきた
この男は【ウルフィエル・サーヴォイト・紅蓮】
俺の相棒であり、店に住み込みで働いている定員である
常に冷たい印象を与えているが、それとは裏腹に根は熱い男。単に人付き合いが苦手なだけだ
「お? ありがとな。いやぁ立て込んでたことはこれで大体おわったな」
軽く笑いながら書類を受け取り、自分の机の上に置いた
俺を起こしたのは、頼んでいた資料のまとめが終わり、渡すために起こしたみたいだ
「俺は肉体労働の方がいいがな」
腕を組み、ため息のように息を吐きながら、そんなことを呟く紅蓮。俺は肉体労働はあまり好きではないが、紅蓮は逆で体を動かすことが好きな奴だ
「まぁそういうなって明日は依頼があるから」
「まぁな」
依頼……俺の住む世界は魔物やら妖怪やら色々な生き物がいる。そのため、そういった生き物から被害を受けることがある。レベルの低い相手なら自警団がなんとかするのだが、自警団で対処できないものは依頼という形でギルド等に回される
ここでは、ギルドを経営しているため、色々な依頼が来る
「最近は平和だからね。依頼がないのは寂しいけどいいことだよ」
「そうだな」
ここ一年は大きな依頼もなく、平和な日々が続いている
俺としてはうれしいのだが、紅蓮は存分に動くことができず、少々ストレスのようなものが感じられる
「明日もあるし今日の仕事はここまで。さ、帰った帰った」
「了解」
多少無理矢理に紅蓮を部屋から出し、俺は机の上を片付けた後、ベットに入り、眠りについた
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