Is funny how...

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「っえ、」 「……つめたい……」 「美月の手……あつすぎ」 「ん……ちょっとだけ……こうしてていい……?」 小さな子どもみたく甘えてくる最愛の人。に、こんなにもドキドキさせられて苦しかった。 昨日の純子の一言を聞いてから、なおさら下手に意識するからだ。 美月にその気なんてないのに。 僕ってば本当にどうしようもないや。 柔らかい指の感触とぬくもりが伝わるその間も、僕の心臓はバグバクうるさかった。 「はあ……こーしてると……ちょっとらく……」 「ほんとに?……あ、冷えピタぬるくなったんじゃない?取りかえようか」 「んん、いい……ちょっと、こうしてて……ほしい……」 気持ちよさげに細々と息を吐く美月。 目が開けられてないだけマシだった。 ここで目があってしまったら、なんかもうダメな気がした。 今以上に正気を保てなくなりそうで。 「ありがと……なんか……ねむくなってきた」 「うん。いーよ、寝て」 「……心地いいから……かも」 目が開かないだろうことをいい事に、美月の寝顔を深く見ていた。 揃ってカールしたまつ毛。 きめ細やかな肌。 柔らかそうな髪の毛。 綺麗で、ものすごく女の子だった。 僕じゃなくったって他の男にも明らかモテるんだろうな。 とか考えていると、また心が乱れて苦しくなった。 「……おやすみ」 「……ん……、ありがと……ちゃみ……」 しっかり触れられていた手がゆるく隙間を作って。 やがて離れて、穏やかな寝息が聞こえてきた。 正直に言えば、 思わせぶりなこの人に振り回されるのは懲り懲りで。 それでも 好きでいるのはやめられないから困るんだ。
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