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熱でおかしくなってたんだ。
バイト先の仲良しの後輩。
が、部屋に来てくれて看病してくれて、ただそれだけでも申し訳ないのに。
しまいにあんなふうに甘えちゃって……。
よく考えたら。いやよく考えなくても自分が信じられなくて、なんかもう気恥ずかしさと申し訳なさが消えなかった。
だけど次の日からも茶美はいたって普通で。
あんまりにも今まで通りなもんだから、私も変に意識するのはやめて、自然に振るまわなきゃと頑張った。
あれから数日。
今日は久しぶりの休み。
体調が回復してから
休んだ分を埋めるためにバイトに明け暮れたから、あの日から初めての休みだった。
夕方までたっぷり休めた身体を動かしたくて、部屋の片付けを始める。
と、着信が。
……えっ!?
ながら見した画面に飛びつく。
だって茶美からだったから。
「もしもし?どしたの!?」
『めっちゃ元気いいですね』
「だってなんかあったのかと~。仕事中でしょ? あ今休憩?」
『いや、うん、なにしてんのかなぁと思って』
「いま?」
『うん。ひま?』
意識しないって決めたのにダメだ。
茶美のいつも通りの落ち着いた声に落ち着かない。
部屋の中をウロウロしながら会話を続ける。
バイト中にかけてくるなんて、意図がつかめなくて。
「……ひま、です。部屋のそうじという任務を放棄すればね?」
『お、じゃー放棄ですね』
「あはは。なに~どしたの?」
『映画。今から行かないかなって』
「えっ?だって店は?まだ勤務中でしょ?」
『さっき珍しく店長が来て。店ひまだし、湯野さんと回すから今日は上がっていいって。幽霊店長もいいとこあるんですね~』
どうしよう。
胸が急に高鳴って痛い。
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