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「ええ、でも、いーの?そんなせっかく上がれたのに今からなんて」
『せっかく上がれたからこそ行きたくないですか?ずっと休み合わないでしょ』
「……だね。じゃあ、お言葉に甘えて行かせていただきますっ。ごはん奢る約束もあるしね」
『ん?ああ、今からだと食べてから観た方がいいかもですね。とりあえず、一回帰って支度してから迎え行くから。美月も支度しといて』
「うん。了解~」
茶美との通話を終えたあと、すぐに用意に取りかかった。
気さくな中身と違って、どこぞのモデルのようにお洒落が映える茶美とのお出かけ……なんて、いったい何を着ればいいのか。
せめて隣を歩いて浮かないようにと、こなれた服装を心がけた。
服選びに時間がかかったせいでメイクまでも完璧にするのは大変で。
待たせちゃいけない、けど、ちゃんとした自分で出たくてなぜか気合が入った。
ちょうど全部終わったとき着信が。
『着いちゃったけど。支度おわった?』
「うんできた。じゃあ外出るねー?」
『あ、言うの忘れたけど車だから。帰り遅くなりそうだし』
「えっ!?そうなの?」
急に緊張した。
電車で行くんだと思ってた。
茶美が車を持ってることは知ってたけど、普段はめったに乗らないから見るのは初めてだった。
とたんにドキドキ心臓がうるさく鳴り出す。
も、もう……私ってばどうした?
鍵をかけて門の外にでると、家の少し過ぎた道路に黒くて大きいSUV車が停まっていた。ハザードがついてる。
ぎゅっとバッグを握って駆け寄る。
運転席に一度まわって覗きこめば、窓越しに茶美が助手席を指でさした。
すぐに助手席にまわってドアを開ける。
フワッといい香りがした。
高そうな車に、慣れたそぶりの茶美。
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