58人が本棚に入れています
本棚に追加
「も~~ほんとごめん。甘えまくりで」
「ていうか甘くないの?キャラメルなんて」
「ん?おいしいよ?飲んでみる?」
「嫌だぁ。こんな時間に太りそう」
「太ってもいいもん~おいしいもん~」
「幸せなお嬢さんですねぇ」
私を見る目が優しいのもまた心打たれてしまう。
遠回りしながらの帰り道はいつも以上に楽しかった。たいした会話はしていなくても、自然と笑ってばっかりなのは、会話のキャッチボールが上手い茶美のおかげだと思う。
楽しいドライブはあっという間だった。
ついに私の家の前に着くと、茶美は車を端に寄せて緩やかにそっと停めた。
「ちょっと待って」
なんて呟いたかと思えば
後部座席から紙袋を取りだして、ふいに私に渡してきたからびっくりした。
「なにこれ」
「やっぱり今渡したくて」
「ええ?なに?」
気になるから聞いてるのに、茶美に向いたとたん少しためらうようにして私を見つめてくるからドキドキが増していく。
「誕生日プレゼント。ちょっと早いですけど」
「え!?」
まさか誕生日を知っていたと思わなくて、
知ってたとしてもプレゼントが用意されてるなんて思いもしなくて、つい大きい声を出してしまった。
「気に入るかは分かんないけど」
「ええ~~うそ~~いいの?ありがとう……」
「……どういたしまして。」
紙袋の中身が気になって、少しだけ開いて見た。
中にはひと回り小さなブランドの紙袋が見えて、それがまた私の好きなジュエリーのお店だったから胸が高鳴った。
「やだもう茶美……ありがとう……」
大事な人だから。
その言葉の意味はやっぱりただの友達ではない気がして、ぎゅっと胸が熱く締め付けられた。
今になってそう思えたのは、
どこかほっとしたように微笑みながら
「一番に渡せてよかった」
そう言って、私の頭に手をぽんと乗せてきた後輩を見てしまったからに違いない。
そんな私の24回目の誕生日は、
湯野さんに誘われた6月4日だった。
最初のコメントを投稿しよう!