短編集『黒』

死刑

４ｍ四方程の小さな部屋に、二人の男が椅子に座っている。

一人は電気椅子、もう一人はそのスイッチを入れる為の机を前に座っている。
二人の間には会話など無く、ただ沈黙が流れていた。

電気椅子に座るこの男、連続殺人犯である。
彼は自分の妻を殺した犯人を殺した。

それだけなら死刑にはならなかったのだが、同じ苦しみを与えようと、犯人の家族を殺したのだ。