artless story

シンプル

｢何してんだよバァカ｣

未だに名前も覚えていない上司から本日一発目で言われた言葉がこれだ。うるさいな。五月病なんだよバァカ。とか返してやりたい。今は七月だけど。

｢派遣で来てから三ヶ月、未だに遅刻しない日が無いよなって聞いてんだよ！ ああ！？｣

｢そうですね。なんでかって言われたら、仕事ダルい。というか、あなたがダルいってのが九割五分って所ですかね｣

オモワズクチニデテシマッター。ウッカリウッカリ。

｢残り五分は！？｣

｢体臭ヒドい。あ、部長のですよ？ 気付いてません？ みんな基本的に部長に近よらないじゃないですか。
もう夏真っ盛りなんですから少し気を遣ったらどうですか？
うーん、やっぱそう思ったらこっちが九割五分ですね。ていうかノリいいですね部長。ハゲだけど｣

｢帰れ｣

今月初出勤でクビ宣告を貰った。オマケにグーパンも。

真夏の暑い日差しの中に放り出されるのは、密室空間であの体臭を感じるよりかは幾分ましだ。なんて、殴られた頬をさすりながら最後の一言を言ってみたり。

まあ、予定調和っていうことで。