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「……んで、どうすんだよ。このまま無職のニートに成り下がるわけにもいかねえだろうが」
「やだなぁ。もうなってるのにそんな心配いらないよ」
刹那、正午が空になったグラスをテーブルに叩きつける。それと同時に自慢の握力で握ったもんだからグラスはバラバラに弾けた。破片がライトの光を反射して煌びやかに光る。その音が出た時点で周りのお客さんの反応は一気に冷めていた。さっきまでは漫才見てるみたいな雰囲気だったのに、だ。どーでもいいから現状無職の僕に観覧料よこせ。
「心配してやってんのにヘラヘラしてんなタァコッ!!」
殆ど口を付けていない元々在るべき姿のアイスコーヒーに手を伸ばす。コップに結露した水適が気持ちいい。
「そんなに怒んないでよ。短気は損気って言うじゃない」
「チッ……爺かよテメエは」
「何だよそれ、まだまだピチピチの二十歳なのになぁ」
「そんな事より職を失った事に衝撃を受けろクソニート」
「うわっ、今寒い事考えなかった?職と「ショックなんざかけてねえよ!!」
出会った頃から比べるとツッコミのレベルも上がってきたなあ。なんて感慨深くなってコーヒーを飲み進める。その最中に溜め息を吐いて正午が続ける。
「……どうせ、行く宛決まってんだろ。性格悪いテメエの事だ。後先考えないでこんな事しねえだろーが」
飲むのを止めると同時に氷が溶けて音を立てる。どーだろうか。ノープランっちゃノープランだし、かといってゼロってわけでもない。(ノープランの反対語ってなんて言うんだろう?)
まあ、とりあえずは言っておこう。軽く微笑しながら正午に言ってやった。
「無計画っ!!」
「死ね」
正午が呟いた瞬間、店員さんから奪い取ったドリアが後方で皿と一緒に弾ける。ホントやめてくれよ。後ろのおじさんが後頭部火傷してハゲになっちゃうから。ハゲ遺伝子拡散反対。
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