青春の思い出と

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さて、このボールを渡さなきゃいけないな。 と、おれは選手控室に向かって歩き出した。 さあ仕事も終わりだ、と球場を閉めようとしたときに女の子がおれにボールを見せてきたときには驚いた。 球場の仕事を始めて20年近くになるが、こんなことは初めてだ。 ふつう、ホームランボールは係のやつが(まあおれだが)拾った人から回収して、代わりに記念品等をあげることになってる。 たまにホームランボールを記念に残すために隠して持って帰る人もいるが、あとから返しに来た人はこれが初めて。 しかもあの女の子、いやにスッキリした顔をしていた。 安心感というか、安堵した感じというか。 なんだか肩の荷が取れた、という感じだった。
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