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「桜、何故ここにいる。義高殿がどこへ行ったか知らぬか。」
そこにいたのは、とても厳しい目をした父様がいた。
「桜、義高様と遊ぼうって思って、義高様のお部屋を訪ねたの。でもどこにもいないの。ずっと、一緒にいてくれるって、お約束したのに。ねぇ、父様。義高様どこへ行ったのかなぁ。」
私は、あえて父様の小袖を引っ張った。
少しでも、父様を引き留めたくて…
「そうか、桜は知らぬか。」
ほんのわずか、いつもの父様に戻った気がした。
「父様、義高様を見つけたら、早く帰って来てねって、桜が遊ぼうって言ってたって伝えてね。」
私は、まるで何も知らぬ童女のように父様に訴えた。父様の気が変わって欲しい…そう願って…
父様は、私の手を外すと頭を撫でて出ていった。
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