第四章

6/8
前へ
/60ページ
次へ
「義高様…気がついていたのね。だから、最近…」 義高様の部屋に広げられていたのは、館近辺の地図…私でも分かる… 「義高様、お逃げください。裏に馬を付けております。父様に気がつかれる前に…」 みるみる義高様の目が見開いた。 「私は…義高様をお慕いしております。そして、ずっと一緒居たかった。今もそれは変わらない。でも、付いていけば私は足手まといになる。だから…私は、ここに残り、少しでも時間を稼ぎます。」 私は、気がついたら義高様の両腕に包みこまれていた。 「桜、すまない。必ずそなたを迎えに来る。それまで待っていてくれ。私が戻ってきたら、祝言を挙げよう。私も桜が好きだよ。」 そう言って、義高様は私の唇にそっと唇を重ねた。 私も義高様も、もう子供ではいられなかった。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加