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「義高様…気がついていたのね。だから、最近…」
義高様の部屋に広げられていたのは、館近辺の地図…私でも分かる…
「義高様、お逃げください。裏に馬を付けております。父様に気がつかれる前に…」
みるみる義高様の目が見開いた。
「私は…義高様をお慕いしております。そして、ずっと一緒居たかった。今もそれは変わらない。でも、付いていけば私は足手まといになる。だから…私は、ここに残り、少しでも時間を稼ぎます。」
私は、気がついたら義高様の両腕に包みこまれていた。
「桜、すまない。必ずそなたを迎えに来る。それまで待っていてくれ。私が戻ってきたら、祝言を挙げよう。私も桜が好きだよ。」
そう言って、義高様は私の唇にそっと唇を重ねた。
私も義高様も、もう子供ではいられなかった。
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