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着いた。
校門をくぐり、
下駄箱で靴をはきかえる。
そう、ここは、私の通っている、地獄。
高校に来ていた。
再登校ってやつ?
大家さんが
すぐ引き受けてくれたから、
良かった。
施設の勧誘がうるさい
なんて嘘ついちゃったけど。
階段をずっと昇り、
息を荒らして昇り、
たどり着いたのは、屋上。
端っこに座りこみ、
息を整える。
そして、
鞄を開け、お兄ちゃんの写真を出した。
「お兄ちゃん…」
ただ、写真に呼びかける。
「お兄ちゃん、私、頑張ったよ。お兄ちゃんがいなくなった後、泣いてないんだよ。どんなに辛くても、憎くても、怖くても、悲しくても。泣かなかったよ。でもね、限界。私、もう、無理みたい。」
そういって立ち上がる。
下を覗きこむ。
高い。
そして、下には、
さっきの奴ら。
あいつら、都合よくいるじゃん。
「ごめん、お兄ちゃん。今、そっちに行くね?」
お兄ちゃんの写真を置き、
奴らを目掛けて。
風も吹いてないし、いける。
飛び降りる。
――怖い…
でも、お兄ちゃんに会える。
お兄ちゃん、鈴夏、ごめんね―
なんとも、ゆっくり、
降りていった。
「瑛美(エィミ)!上――」
「きゃぁぁああああ!!!」
ガンッ!!
ドサッ
痛い――
目の前の、沢山の足の間に、
白いウサギをみつけた。
それにむかって手を伸ばす。
なぜだか、わからない。
駄目、もう。
いし、き…が…
目が……あか……な……………
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