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「べつに黙らなくても平気なんだけどな」
ティエナと青年の様子に、ルウディーはくすりと笑みを浮かべる。
元々、旅に出る前は人通りの多い街道で商売をしていたのだ。
「話し声くらいじゃ、占いの結果は変わらないから」
ルウディーはなんでもないことのように言ってのける。
「ルウちゃんって、占い師なの……?」
テーブルの上でカードを混ぜるルウディーの手元を見ながら、青年はティエナに小声で聞く。
「そうよ。ルウの占いってよく当たるの」
「へえ。で、今は何を占ってるの?」
「……えーっと……?」
言われたままに荷物を渡しただけのティエナは、返答に困り、ルウディーに視線を送った。
それに気付いて、ルウディーはふわりと微笑んだ。
占いをしている最中のルウディーは、性別を超越した神秘的な雰囲気を持っている。
そんな雰囲気の彼に微笑みを向けられ、ティエナと青年は共に顔を赤くした。
「そういえば、名前……聞いてなかった」
青年に視線を留めて尋ねれば、ますます赤くなる。
「か……カイル……」
消え入りそうな声で答える青年――カイルに、ティエナは無理もない、と思う。
「カイル……か。悪いけど、あんたのこと占わせてもらうから」
「え?」
その言葉にはふたり同時に疑問の声をあげた。
「あんたの周りに、オレたちの仲間がいるかもしれない」
そう告げながら、ルウディーはカードに手をかざす。
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